『返校』城隍神について

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今回は「城隍神」について書きたいと思います。「黒白無常」を紹介した時に、「黒白無常は“城隍神”に仕える神様」と書きました。では「城隍神」とは一体どんな存在なのでしょう?

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城隍神

城隍神(じょうこうしん)とは、中国の民間信仰における土地の守護神である。別名は福徳正神もしくは土地公ともいう。

参照元:“城隍神”. ウィキペディア. 2019年7月19日更新. <https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AA%BD%E7%A5%96>. 2019年8月12日アクセス

※台湾のサイトをいくつか回ってみましたが、城隍神は土地公とは別という記載が多く、私が調べた書籍でも土地公は村落生活と関わる範囲で、城隍神は都市レベルというような記載がありました。

道教の考えでは神々の社会も官僚制度で成り立っており、土地の神々も高い地位にある都市の守護神の城隍神の下には、低い地位にある城外や村落などを治める土地爺、さらに狭い範囲、墓所を治める后土神が存在する。

参照元:“城隍神”. ウィキペディア. 2019年7月19日更新. <https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AA%BD%E7%A5%96>. 2019年8月12日アクセス

私が調べた内容も以下に記載いたします。

城隍神という神格が成立した経緯等はわからないようです。しかし、唐代には都市の軍事的守護神としてだけでなく、祈雨求晴や住民の安寧、招福祓災も期待されていました。この名称は都市を囲む城壁(城)と濠(隍)に由来するとされています。都市住民の死後の世界の支配者であるとともに、陽界1である現実の世界に対しても、行政の力が及ばない超自然的な事象に対しては城隍神が責任を持つとされています2。定められた時期に区域内を巡行し、また死者が出るとその裁判を行うとされ、現実の地方官が見過ごした悪事も容赦なく罰すると信じられています。

台湾では今日でも厚く信仰されていますが、中国大陸では城隍神の行政神としての神格は失われ、民間で冥界神として、また平安な生活の守護神として信仰されているにすぎません。


1:中華圏では「人間界」を「陽界」、「死後の世界」を「陰界」と呼びます。

2:ウィキペディアの解説にもあるように、「道教の考えでは神々の社会も官僚制度」があるようです。死後の世界にも都市があったり、行政があったりして、人間界と同じような構造を形成していると考えられているようです。「現実の世界に対しても行政の力が及ばない超自然的な事象に対しては城隍神が責任を持つ」なんて、神様も大変ですね。

まとめ

城隍神を簡単に説明するとこんな感じでしょうか。都市の守護神で、管轄内の死者の裁判を行う。「黒白無常」との関係でいうと、城隍神が黒白無常に「さっきうちの土地で誰か死んだから連れてきてくんない?」と頼み、黒白無常が死者の魂を連れてきて、城隍神が死者を裁くといったイメージでしょうか(私の勝手な想像です)?

『返校』の作中では、レイちゃんが城隍神に向かって「母にたくさんの悩みごとを聞かされたことでしょう。」と言っていますね。どんな悩みごとだったのでしょうか? 夫のことでしょうか? レイちゃんのことでしょうか? 夫の浮気も確かに「行政の力が及ばない超自然的な事象」かもしれません。こんな相談ばかりされる城隍神は一体どんな気持ちなのでしょう……

 


参考文献

[1] 野口鐵郎・田中文雄編(2004) 『道教の神々と祭り』(あじあブックス) 大修館書店.

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