『還願』縁起物について

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ホラーゲーム『還願』では主人公の家族が引っ越したという設定がありました。タイトル画像のように「妻へのことづけ」には「入居前には必ず地基神に挨拶をしなければならない。様々な縁起物を用意してお祈りすることで、家族の健康、富、平安が守られる。」と記載されています。

タイトル画像には「縁起が良いんだろうなあ」というものが並んでいますが、「魚」や「大根」などがどういった理由で縁起が良いのかはいまいちわかりませんね。私も「なんでこれが縁起ものなの?」と改めて聞かれると答えられないので、今回はネットで色々と調べてみました。調べることができたものに関して一つひとつ解説したいと思います。

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調べてみると、中国語では縁起が良い言葉と発音が同じ(似ている)ものとを結びつけている例が多くありました。これもその一つです。(日本人が、お賽銭を投げる時に「ご縁がありあますように」と「五円玉」を投げる感覚でしょうか)

まず「年年有餘(niánniányǒuyú)」という言葉を紹介します。繁体字でちょっとわかりにくいですが、「餘」は「余」と同じ漢字です。字からなんとなくわかるように「毎年余るような、ゆとりある」という縁起の良い言葉です。そして「魚」は「yú」と読み、「有餘」の「餘」と同じ発音のため縁起物とされています。

こちらも同じ発音が由来のようです。ただし台湾語の話なので中国も同じなのかはわかりませんが……

「雞」と「家」が台湾語で同じ発音なので(どう発音するのかはわからないです)、鶏を丸々一匹食べることは「一家団欒」を表すようです。また「吃雞」が、「事業や家業を興す」ことを意味する「起家」を表しているそうです。他にも「雞」は中国語で「jī」と発音するので、「吉(jí)」と似ているからという記載もいくつかありました。

鴨の頭

これは正確な情報が得られなかったのですが……

「鴨肉」は「頂呱呱」を表しているという記載を見つけました。「頂呱呱」を辞書で引いてみると「

そしてここからは私の憶測でしかありませんが、「頂呱呱」は「dǐngguāguā」と発音します。カモやアヒルが「グワグワ」鳴くからかなあと想像しました。

この「鴨」に関する前半部分はあるブログで紹介されていた内容で、そのブログでしかこの記載を見つけることができませんでした。そのため信頼に足るかは微妙です。もしおわかりの方がいたら教えてください。

湯円

「“湯円”ってそもそも何?」という人もいらっしゃるでしょう。

湯円(繁体字:湯圓、簡体字:汤圆拼音Tāngyuán タンユェン)は、中国の伝統的な小吃のひとつ。冬至の風物詩的な食品で、もち米で作ることが多い。呉語では「湯糰」、莆仙語では「丸囝」、台湾語では「圓仔」(îⁿ-á)、客家語では「圓粄」と呼ぶ。通常は紅白の二色で、餡はゴマとアズキで作る甘いもの(甜湯圓)と肉で作る塩辛いもの(鹹湯圓、簡体字では咸汤圆)がある。

参照元:“湯円”, ウィキペディア, 2018年12月22日更新, <https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B9%AF%E5%86%86>, 2019年8月15日アクセス

簡単にいうと冬至によく食べられる伝統的なデザートといった感じでしょうか。下の画像は、私が台湾に留学していた時に学校の先生方が振る舞ってくれた湯円です。

そしてこの「湯円」もその発音から縁起物とされています。「湯圓(tāngyuán)」が、「一家団欒」や「丸くおさまる」という意味を持つ「團圓(tuányuán)」と似ているため縁起が良いとされているます。

私は冬至の時にしか食べないと思っていたのですが、ゲームを見る限り冬至に関わらず、めでたい時にも食べるようですね。

大根

これも発音によるものですが、台湾語が由来のようです。大根のことを台湾語で「菜頭」というらしいのですが、これが「

発糕

これはもち米を原料とした蒸しパンのような伝統的な食べ物です。「發糕(fāgāo)」の「發」と、「金を儲ける」「金持ちになる」といった意味を持つ「發財(fācái)」の「發」とが同じ字のため縁起が良いとされています。

紅包袋

「紅包袋」とは「紅包」を入れる「袋」なのですが、そもそも「紅包」とはなんでしょうか。

参考文献:小学館・北京商務印書館編, (1992・2003)『中日辞典』第2版, 小学館. 

日本語では「お年玉」などと訳されることも多いですが、「紅包」はそれよりも範囲が広いようです。「お年玉」はお正月にもらうもので、「紅包」に季節性はなさそうですね。正月にかかわらずめでたいことがあると配れらるもののようです。

作中では「先生へ渡すもの」として「紅包袋」がありました。おそらく「お布施」的な意味で「お金を渡すための袋」ということでしょう。

冥銭

これは『返校』にも登場しましたが説明し忘れていました。「」などとも呼ばれています。

紙銭:錫箔紙や金箔紙などで銭形に作ったもの.死者または鬼神を祭る時にこれを焼く.

参考文献:愛知大学中日大辞典編纂所編,  (1987-2005)『Unicode版中日大辞典』第三版, 大修館書店.

死者や神様を祭る時に燃やすものです。あの世でもお金が必要なのでしょうか? 以前「城隍神」を説明した時に、「死後の世界にも都市があったり、行政があったりして、人間界と同じような構造を形成している」と書きました。とすると、もしかしたらお金が必要になるかもしれませんね。その辺のことはよくわかりませんが……

「冥銭」は下の画像のようなものです。台湾に住んでいた頃はよく見かけました。留学中、大学へ行く途中に橋があり、その橋の手すりに「冥銭」が置かれていたことがありました。当時は「冥銭」という言葉を知らず、当然その用途を知るはずもなく…… ちょうど風邪気味で、鼻水がすごかったんですね。神々しい感じがしたのでためらったのですが、鼻水が流れてきてどうしようもなかったのでお鼻チーンしてしまったことがあります。今思うと橋に置いてあったということは…… 大変恐ろしいことをしてしまいました。

リンゴ

リンゴは中国語で「蘋果(píngguǒ)」。この「蘋」が、「平穏」や「無事」を意味する「平平安安(píngpíng’ān’ān)」の「平」と同じ発音のため縁起が良いとされています。

パイナップル

こちらは台湾語と関係しているようでした。台湾語でパイナップルは、中国語で「盛んにやって来る」を意味する「旺來(wànglái)」と同じ発音のようです。そこから「好運旺旺來(幸運が盛んにやってくる)」という理由で縁起物になったようです。

 


参照元:

・“年年有余”, 百度百科,  <https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AA%BD%E7%A5%96>, 2019年8月15日アクセス.

・“東西代表的吉祥話”, Yahoo奇摩知識+, <https://tw.answers.yahoo.com/question/index?qid=20061222000010KK09267>, 2019年8月15日アクセス.

菜頭VS.白蘿蔔”, Yahoo奇摩知識+, <https://tw.answers.yahoo.com/question/index?qid=20051114000014KK17288>, 2019年8月15日アクセス.

・“发糕”, 百度百科, <https://baike.baidu.com/item/%E5%8F%91%E7%B3%95>, 2019年8月15日アクセス.

為什麼鳳梨的台語是「旺來」?”, Yahoo奇摩知識+, <https://tw.answers.yahoo.com/question/index?qid=20060322000013KK08205>, 2019年8月15日アクセス.

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