『還願』地基主と地基婆について

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今回からは『還願』に出てきた言葉について説明したいと思います。今日は「地基主と地基婆」です。

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地基主と地基婆

実は「地基主と地基婆」に関しては日本語での情報がほとんどありませんでした。それに関する書籍も見当たらず、今回はネットで見つけた台湾の記事を自分なりにまとめたいと思います。

まず「地基主」と検索すると「怎麼拜(どうやって拝むか)」「拜地基主的方法(地基主の拝み方)」などがたくさんヒットします。つまり現地の方にとっては、「地基主」という存在は身近な存在で、むしろ「ちゃんと拝むにはどうするんだっけ」程度の感覚でしょうか。日本人が神社などを参拝する時に「どうするんだっけ」と調べたりするのと同じ感覚かもしれません。

そこで「地基主」とは何かを調べてみると、ウィキペディアが一番詳しくてわかりやすい内容でした。原文を示した上で、補足を加えた訳文を書きたいと思います。

台灣地基主信仰

臺灣地基主信仰是臺灣祭拜地基主(民間偶爾寫為地祇主或地居主)的民間信仰,又稱地主神、地主公、地靈公、厝宅公等,是住宅、房舍的守護靈,是一種民間信仰。多在除夕、清明節、中元節、重陽節等節慶設置香案,以菜餚、紙錢祭拜地基主。有許多人在作牙祭拜土地神、或者祭灶神時,一併祭拜地基主。但地基主並不是灶神,亦不等同土地神(或稱土地公、福德正神),目前普遍認為管轄範圍境主(或稱「統境王」、「統境公」,市鎮或廟宇轄區的守護神,類似城隍)大於土地神,土地神又大於地基主。

地基主信仰在臺灣的普遍性極高,不只自用住宅會祭拜地基主,許多公司行號,甚至公家機關也往往會加以祭拜。逢年過節也會祭拜地基主,例如端午節,台灣其實不會祭拜屈原而是地基主。許多臺灣人,遷居搬家時也會祭拜新宅、舊宅的地基主:與舊宅地基主話別是感謝其辛勞;與新宅地基主溝通則希望其保祐。根據多方考察,福建也有祭拜地主神的習俗(稱為地主),與台灣祭拜地基主的習俗類似,同為客家人、閩南人分布的台灣地區,承襲了這類的信仰習慣,因此在台灣有沿襲這種習慣的大多是說閩南話的漢人後代。除此之外,佛教裡本身並沒有地基祖的信仰。

参照元:ウィキペディア. “台灣地基主信仰”. 2019年6月24日更新. <https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AA%BD%E7%A5%96>. 2019年8月13日アクセス

訳文:

台湾の地基主信仰

台湾の地基主信仰とは、台湾において地基主(民間では地祇主や地居主と書かれることもある)を祭る民間信仰のことで、地主神・地主公・地霊公・厝宅公などとも呼ばれる。住宅や家の守護霊であり、一種の民間信仰である。多くは大晦日や清明節・中元節・重陽節などの祝祭日に、

台湾において地基主信仰は極めて広く普及しており、住宅だけでなく、多くの企業、さらには公共機関でも地基主を祭る。新年や祭日にも地基主を祭り、例えば端午節では、本来祭るべきとされる中国戦国時代の楚の政治家「屈原」ではなく、台湾では地基主を実は祭っている。多くの台湾人は、転居や引っ越しの際に新居・旧居の地基主を祭る。旧居の地基主にはその苦労を感謝し、新居の地基主には加護を願う。多くの考察によると、福建にも地主神を祭る習わし(地主と呼ぶ)があり、台湾の地基主を祭る習わしと類似している。同じく客家人や閩南人が分布する台湾の地域でもこうした信仰習慣が踏襲されており、そのため台湾でこうした習慣を踏襲するほとんどが、閩南語を話す漢民族の子孫である。そのほか、仏教では地基祖の信仰は全くない。

こんな感じで訳してみました。「地基婆」についての詳しい情報は全然ないですね…… 申し訳ないです。おそらく「地基主」の女性バージョンでしょうかね。

私が台湾に住んでいた頃、道端に机が置いてあって、その上に果物などのお供え物が置いてある光景をしょっちゅう目にしていました。本当にいたる所で目にしましたよ。今思えば地基主を祭っていたのかもしれません。信仰心が日本人とは桁違いだと思います。

ちなみに『還願』の作中では「地基主と地基婆は玉皇大帝が遣わした住まいの神のこと。」とあります。「玉皇大帝」とは道教における最高神のことです。

こうした信仰心が厚い国民性もあって、作中に登場したような、そこに漬け込む邪教もあるのかもしれませんね。

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